第8章 おでこに…
「じゃないか」
背後からした声に
一瞬で気持ちが落ちてく。
渋谷くん達の動きも止まった。
嫌やなぁ…
振り向きたくい。
でも、そうはいかへんねん。
誰にも気付かれんように
小さくため息をつき…
「こんにちは、今滝先生」
後ろを振り向き
最上級の作り笑いを浮かべる。
今滝先生は2年の社会担当。
1年前に東京から赴任して来て
ジャ◯ーズ系で女の子達から
絶大な人気があるんやけど
私は、どうも苦手。
(生理的にね)
「今日、中原は?」
「…………中原さんは休みです」
知ってるくせに。
わざとらしくて、なんか嫌。
今滝先生は親友の事を良く思ってへんねん。
「じゃあ、今日の放課後資料室来てくれないか?」
なんて言って、首を傾げた
今滝先生に顔を覗き込まれる。