第6章 相合い傘。
雷は遠くの方へと移動し
雨も少しずつ弱まっていた。
止んだ訳やないから
黒い傘の下
渋谷くんと肩を並べ歩いてる。
大きめの傘とはいえ
2人で入ってたら
肩とか鞄とか
多少濡れても可笑しくないのに
濡れずに居てるのは
私寄りに傘を差してくれているから。
渋「……………」
「……………」
相合い傘するの初めてやけど
こうやって男の子と帰るのも初めて。
緊張してはないけど
何を話せば良いのか分からず
学校を出てから、ずっと無言。
だって、男の子と
会話らしい会話したのは
渋谷くんが初めてやもん。
どんな話題を切り出せばえぇんやろ…と
沈黙には慣れてるはずやのに焦ってる。
渋「そう言えば…」
「はっ、はいっ」
ピンッと姿勢が良くなる。
急に声を出すから驚いた私に「そんな焦らんでえぇやん」と鼻で笑う渋谷くん。