第1章 後ろの席の彼。
自分の手の中にある
消しゴムを見つめる事数秒。
これは断るべきかも…という結論に至った。
今更、ありませんでした!で
伝わるような相手やったら
こんなに躊躇う必要あらへんねんけどなぁ…
「…………………」
だって、さすがにこれは…あかんと思う。
今どきの小学生ですら
もっとおしゃれなのを持ってるはず。
いや、消しゴムにおしゃれとかあるのって話やけど…
こうなるなら
普通の消しゴム持っとけば良かった。
コイツ、いい歳して
こんなん持ってんねや、って
思われてまうやんか。
(実際、持ってるんやけどね)
でも、消しゴム無いと困るやろうし…
あぁっ、どうすればっ!
なんて考えてる間にも時間は無情に過ぎて行く。
恥ずかしいけど…
「ど、どうぞ…」
後ろを向いて
差し出された手の平へ
グーにした自分の手を乗せた。