第6章 相合い傘。
何の話や。
グッと何が来るの。
というか
私の泣き顔で
渋谷くんに何かがグッと来たん?
それは大丈夫なんやろか?
いや、ほんま何が来たの?
めっちゃ気になるんやけど…と
頭の中が渦巻いて
こんがらがってる私をよそに
隣でパンッという音を立てた。
目をやれば
黒い傘を差して
顔だけこっちに向けている。
渋「何ボサッとしてんねん、行くぞ」
「え?」
渋「帰らんのか?」
「や、帰りますけど…」
渋「なら、早く入れや」
と、傘の中で自分の隣にペースを作る渋谷くん。
そこへ行ってしまえば
生きて来て一度も経験した事のない
"相合い傘"になるのでは…