第6章 相合い傘。
え、熱でも出た?
なんて思うような天然キャラでは無い。
「顔、赤いですね」
渋「しゃ、しゃーないやろ…可愛いとか言われた事あらへんねんから」
と、私の襟から手を離し
その手で自分の顔を覆う渋谷くんが
ほんの僅かやけど
可愛いかも、と思った。
ライオン(もしくは虎)も
照れたりするんやね。
渋「あんま見んなや」
「嫌です。思いっ切り見てやります、穴が空くほど」
ワザと顔を近付ければ
猫さんみたいな
少し釣り上がった大きな目が
私を見つめる。
いや、睨みつける?
渋「……何やねん、さっきとはえらい違う態度やんけ」
「雷が居ないと無敵ですから」
渋「あーぁ、毎日鳴らんかなー」
「そっ、そんなのダメです!毎日泣かなきゃいけなくなります!」
渋「えぇやん、泣いたら。男はな、泣き顔にグッと来るんやぞ」
「…………」