第5章 苦手なもの。
鼓膜を突き破るかのような雷鳴と
この状況に私は根負けしてしまい…
「渋谷くん」
渋「ん?どうし…」
人間というのは恐怖が上限に達すると
冷静さを失い、思い掛けない行動を取る。
既に限界を超えてた私は
何の躊躇いもなく
渋谷くんの首に抱き着いた。
そんな私を黙って受け入れて
震える背中を優しく
子供をあやすように
一定のリズムで叩いてくれる。
"友達"同士で
こんな事するのは
おかしいと思う反面
何だか心が落ち着き始めていた。
「ごめんなさい…」
渋「謝らんでえぇって」
「でも…」
抱き着くのは
やっぱりおかしいわ、と思い
渋谷くんから離れる。