第5章 苦手なもの。
初めて見る柔らかい表情に
初めて会話した時に感じた胸の鼓動が
今、また鳴り始める。
きっと2人っきりやから
緊張してるだけ。
雷が怖いだけ。
渋谷くんが格好良いから
ドキドキしてるんじゃない。
「………笑わないんですか?」
渋「何に対して笑わなあかんねや」
「高校生にもなって雷が怖い…とか」
渋「どこもおかしい事あらへんやんか」
「へ?」
渋「誰にでも怖いもんや苦手なもんはあるし、雷が怖いなんて可愛いやん」
「かっ…!?」
渋「怖い~っ言うて抱き着いてくれてもえぇぞ、ほれ」
と、腕を広げ待ち構えてる。
もう色んな意味でドキドキ。
抱き着く訳無いやん!
怖い~とか言うて良いキャラちゃう!
渋谷くんと会話してたら
怖さが不思議と和らいで
少し安心してると…
青白い光が図書室に差し込み
私達を照らした。