第5章 苦手なもの。
「ちょっ…と、ほ、本を、さ、さが…」
もうまともに喋る事すらままならない。
やから、立ち上がるなんて事も出来なくて…
そんな私を無言で見てるだけの渋谷くん。
普段は怖く感じる眼力も
今は雷のせいか、おかげか
何とも思わない。
渋「………もしかして雷が怖いん?」
「まっ、まさかっ!こ、怖くないですよ、雷なんかっ!」
渋「吃り過ぎやろ、」
「…………気のせいです、本を探して来ます」
震える声に力を込めて
私は何も怖くないですよアピール。
まさか、精一杯の強がりを
こんな場面で使うとは思って無かった。
何とか椅子から立ち上がり
適当な本棚へと向かい
渋谷くんから見えないように隠れて
ヘナヘナと効果音をつけながら
静かにしゃがんでく。
「(こっ…怖い…っ…)」
震える足を抱き寄せ顔を埋めた。
膝に目をつける。
こうやって視界を覆えば
光っても分からないもん。