第5章 苦手なもの。
だって、素敵な王子様が
何があっても守ってくれるし
自分だけを愛してくれるんやもん。
現実にはありえへん事。
物語の終わりは必ず幸せしか無いんやもん。
恋愛に興味があらへん訳ちゃうねん。
胸を焦がすような恋をしてみたいし
人を愛し、愛されるってのは
どんな感じなんやろ…と思ってたりする。
「難しいんよね…」
自分しか居ないのを良い事にボソッと呟く。
恋をするのも
愛するのも
愛されるのも
まずは相手ありきの事。
カチカチ、と時間を刻む2つの計を見上げる。
もう17時か…
と、目線を大きな窓へと向けた。
「止みそうに無いな…」
窓を滝のように流れる雫。
雷がいつ鳴っても可笑しくない程
濃いめの灰色をした空。
早く帰りたいな…
と、窓の向こう見つめてたら
ガラッと図書室のドアを開ける音がした。
珍しいな、人が来るなんて。
1年の時から
図書室を利用してるけど
誰かと会った事あらへんもん。