第4章 勢揃い。
「(雷が鳴る前までには止みますように…)」
なんて、どう考えても無謀な願いを
心の中で祈ってる間にも
何人ものの人が私の横を通り過ぎ
傘を差し帰って行く。
雨は止むどころか
どんどん強くなる一方ばかりで。
地面を叩きつけるように降る雨を見ていたら
後ろから賑やかな声が近付いて来る。
「うわぁ、めっちゃ降ってるーっ!」
この高い声は
隣のクラスの安田章大くん。
錦戸くんの次に
教室で良く聞く声やから。
安田くんの声が聞こえたという事は
渋谷くんも居る訳で。
気付かれんように
玄関口のドアと靴箱の間へ移動し
息を潜めて存在を消す。
気分は忍者。
いや、女やからくノ一か。
見つかるのだけは勘弁…
と、ヒヤヒヤする私の視界を横切った人物。
それはやっぱり安田くんやった。