第3章 昼休み。
早くしろや。
そう訴えてる渋谷くんの目。
めっちゃ怖いねんけど。
ライオンに捕らわれたような気分にすらなる。
従わなきゃ何されるか…
って、そんな考え方をするのは止めなあかん。
「こ、こうですか?」
渋「ん」
言われた通り手を差し出せば
ピンクのフィルムに包まれた飴が
そっと手のひらへ乗せられる。
どこから出したんやろ?
何味?桃?
じゃなくて。
「あ、ありがとうございます」
渋「スコなんちゃらの変わりにはならんやろうけど」
「スコッチエッグです。覚えて下さい」
渋「えぇー」
「"友達"なんですから」
なると言ったからには
渋谷くんの事を知っていかんとね。
そんな私の言葉に…
渋「せやな」
と、片方の口の端を上げて笑った。