第9章 好きなタイプ。
「香絵ちゃんに呼ばれた方が嬉しいんじゃあ…」
渋「なんでそこで中原が出てくんねん」
「え、だって…」
渋「だって?」
「…………香絵ちゃんですよね?」
渋「やからなんで中原」
「好きな人、」
渋「………は…?」
「渋谷くんの…」
逸らされずに居る目から
自分の膝元へ視線を移す。
どちらかが少しでも動けば
膝と膝がぶつかる位置で座る私達。
離れた方が良いんちゃうかな?
と、今頃気付いた。
やからって
ほんま今更離れるのも
おかしな話なんやけど…
や、おかしくないんかも。
友達との距離感ってのは
人に寄ってちゃうし。
この距離感が渋谷くんの当たり前なら
それはそれで困るけどね。
(私の心臓が保たない)
渋「俺の好きな奴が中原って…」
「………辛くないですか?」
渋「辛い?」
「だって、香絵ちゃんは大倉くんと想い合ってるじゃないですか」
辛くない訳あらへん。
自分の好きな人が
自分の友達を好きやなんて。