第9章 好きなタイプ。
「あ、あの…なんか怒らせちゃいましたか…?」
渋「……………名前」
「名前?」
渋「もう呼んでくれへんのかなぁーって」
「………へ?」
渋「ん?」
「えっ…と、」
渋「何やねんな」
「…………呼んで良いんですか?」
恐る恐る聞けば
きょとん、とされた。
そして、今までに無いくらいの近さで
顔を覗き込まれる。
渋「呼んで欲しいから言うたんやけど」
「っ…」
渋「呼んでや、」
「い、今ですか…?」
渋「どう考えても今やろ」
「で、ですよねぇ…」
呼んでや、なんて言われても
そう気軽には出来ない。
見つめられる中
心臓の音だけが
先を急ぐかのように
早くなってく。
渋「……………あかん…?」