第9章 好きなタイプ。
目線から1段高めの棚へ並べられた
背表紙を順に目で追って行く。
何を読もうか。
あれもこれも面白そうで
迷いに迷っていた。
「(あ………)」
ふと目についた1冊。
棚から取り出して
表紙を捲れば
たちまち始まる物語。
「…………………………」
本というのは
最初の1行目で
読む相手の心を
惹きつける。
手にしたこの本にも
立ったままな事も忘れるくらい
あっという間に
世界へ引き摺り込まれていた。
開いたページの最後の行を読み終え
次のページへ行こうとしたら…
渋「ちょお待って」
「………へっ!?」
と、後ろから伸びて来た手が
ページを開こうとする私の手を止めた。