第9章 好きなタイプ。
職員室を出て
やって来たのは水道。
掴まれていた手首を洗い流す。
「(あぁっ、もう気持ち悪いっ…!)」
何度も何度も洗えど
掴まれていた感触と体温は
当たり前やけど消えなくて。
しまいには擦ってみたり。
「(もうやだ…)」
擦り過ぎて赤くなった手首に
水を当て続ける。
あ、授業…
「………………」
もういっか。
とっくに授業始まってる教室に
入ってく勇気はあらへんし。
サボるなんて生まれて初めてや。
きっと…ってか
絶対怒るやろうな、香絵ちゃん。
なんて思いながら
蛇口を締めて水滴を払う。
「やっと洗い終わったか」