第9章 好きなタイプ。
無言で耐えようって
握られてる手から目線を逸らす。
男の人に力で敵う訳あらへんし。
心の中では強気で居ても
いざとなると弱気が勝つ。
そんなんだから
いつまで経っても
自分は物語のヒロインになられへんの。
「今滝先生、どうされたんです?怖い顔して」
ふと聞こえた声。
この声は担任の増山先生で「うちのが何かやらかしましたか?」と不審そうな顔で近付いて来る。
そんな増山先生に…
今「何もしてませんよ。ただ少し顔色が悪いように見えたんで様子を伺っていただけですから」
と、取って付けたような笑顔。
同時に手が離され
つかさず後ろへ下がり…
「し、失礼しました…!」
急いで職員室を出る。