第2章 見た目。
渋「これってあれやんな、何とか何とかっていう…」
これ、というのは消しゴム。
手に取りマジマジと見てる。
渋「何やっけ…」
「………………」
怠そうに眉間へ皺を寄せ
めっちゃ消しゴム見てた。
傍から見たら凄い光景やと思う。
渋「あっ、思い出した。マイメロとかいうやつや」
マイメロのイラストが描かれた消しゴム。
それを渋谷くんに貸した。
(私ってば勇気ある)
「は、はい、そうです」
渋「好きなん?」
「は、はいっ!」
渋「ふーん…そっか」
と、優しく微笑んだ。
その微笑みに
胸がトクンッと小さく跳ね
次第にドクドク…と脈を打ち始める。
それは、怖さから来る緊張とは
また違ったモノやけど
何かは分からない…
渋「……ほんま凄い雨やな」
原因不明なドキドキをさせてる私をよそに
険しい顔で窓の外を見る横顔。
彼は、本当に正統派の男前。
付いてる物は一緒なのに
形や大きさや付いてる位置が違うだけで
良くも悪くもなる。
渋谷くんの整った顔には
同じ人間なのか、とさえ思った。