第8章 おでこに…
今「じゃあ、終わったら勝手に帰ってくれて構わないから」
と、資料室を出て行った今滝先生。
いつもなら親友を
ネチネチ口撃するのに
今日は違うから
ちょっと拍子抜けた。
やけど、これで同じ空気を
吸わなくて済む。
それだけの事でも
気持ちが軽い。
渋「何やねんアイツ…戸締まりせんでえぇんか?」
「さぁ…?」
渋「さぁ…って。普段はどうしてんねん」
「いつもは出て行かへんので」
渋「ふーん…なら、帰ってえぇんちゃうん?」
「は?」
また無責任な事言うんな、と
顔を見たら「睨むなや、怖いわ」なんて言われて。
睨んでへんし。
そう見えたなら私どんだけ目つき悪いんよ、ってな話やわ。
目つき…というか
睨みなら渋谷くんのが
断然怖いんやけど…
(本人はそれに気付いてんのかな?)
渋「よし、やろか」
「は、はいっ!」
渋「どっちが先に終わるか勝負や」
「えっ?」
渋「負けたらジュース奢りやからな」
「えぇっ!?」
渋「よーい…スタート」
「え、あ、ちょっ、待っ…」