第8章 おでこに…
いつも見るニヤけた気持ち悪い笑顔。
(私がそう見えてるだけ)
だけど、その笑顔は
一瞬で無くなり
今滝先生の目線は隣へと移る。
今「なんで渋谷が居るんだ?」
渋「手伝い」
今「が要れば十分なんだが」
渋「一緒に帰るから待ってる間暇やし…1人でも多い方がその分早いやん」
今「………付き合ってるのか?2人は」
渋「そんなんいちいち人に教える必要あらへんやろ」
確かにそうやわ。
教える必要はない。
せやけど有耶無耶にする必要もない。
これで付き合ってるだなんて
思われるのは不本意やけど
いつの間にか私の前へ
立っている渋谷くん。
男の子にしちゃあ少し細い
その背中が何だか"守ってくれてる"ように感じて…
もしかして渋谷くんは本当に
自分だけのヒーローみたいな王子様なんかも、と
都合の良い思い込みをして胸を高鳴らせた。