第8章 おでこに…
「ぶえっくしょいっ!」
大きなくしゃみのあと「あ"~…」なんておっさんみたいな声が後ろからした。
びっくりして振り返ったら鼻を啜る渋谷くんと目が合う。
「見んなや」
「す、すみません」
慌てて姿勢を前へ戻す。
雨が降ってるせいやとしても
何か一段と怖さが
増してるような気がすんねんけど。
(めっちゃ睨まれた)
昼休み怠いって言うてたから
もの凄くしんどいんやろうな…
って、渋谷くんの事気にしてる場合ちゃう!
「(…………よしっ!)」
気合いを入れ鞄を掴み
立ち上がろうとしたら…
後ろ髪がツンッと張る。
「った…」
髪が引っ掛かるような物なんて
何にもないのに…
と、振り返れば渋谷くんが
私の髪を掴んで睨んでいた。