第1章 夏の思い出作り(赤)
「彼氏居らんとか寂しいやっちゃやな。自分いくつやねん」
「………22ですけど、」
「は?」
ヘラが焼きそばの上に落とされ
店員さんを見ると
目をパチクリさせて私を見ていた。
「あの…ヘラ、大丈夫ですか?」
「ヘラとか今はどうでもえぇ!」
「いやいや…」
どうでもえぇ訳がない。
ヘラについたあなたのエキスが
私の焼きそばに混ざってしまうやん。
「何してんねん!22言うたら、めっちゃえぇ時やん!楽しい時やん!」
「はぁ」
「俺ですら、女の子と遊びまくってたっちゅーのに…そもそも1人で海て。友達は?友達は居らんのか?」
「中には寂しい22歳も居るんです。ほっといて下さい」
そっとしといて下さい。
別に彼氏がずっと居なかった訳ちゃうし。
たまたま、今居ないだけ。
友達もそこそこ居る。
(勝手に友達と思ってるだけかもやけど)