第1章 夏の思い出作り(赤)
「美味しかったぁ…」
「めっちゃ食うてたな」
クックックッ、と
運転席で握り拳を口に当てて笑う。
やって美味しかったんやもん。
唐揚げ定食。
マヨたっぷり。
あーぁ。
これでまたお肉が増えた。
(帰ったらダイエットやな)
やからこの際
今日はとことん
食べちゃうのもありかも。
「それにしても、女の子でいっぱいでしたね」
「あいつ、俺らん中で1番モテるから」
「でしょうね、」
モテるのは分かる。
逆にモテないなんて言われたら
何でやねん!って言うてたかも。
というか、この変態も
モテますオーラあるし。
今になって
私はとんでもない人に
声を掛けられたんやと実感した。
「吸うてえぇ?」
「あ、はい。どうぞ」
煙草に火をつけるまでの過程を見つめる。