第1章 夏の思い出作り(赤)
「結構です」
「そないな片意地張らんと素直に、送ってーって言うたらどうやねん」
「素直も何も送って貰う気ありませんので」
と、後ろを振り返り
荷物を取ろうとすれば…
「可愛げないな」
「…………………」
「せやから男居らんのちゃうん?」
バカにしたような笑いを私へ向ける。
どうせ、可愛げないですよーだ。
そんなの変態に言われなくても分かってるし。
「だったら何なんですか。私に可愛げが無くてもあなたには関係ありませんから」
「…………………」
「電話してすみませんでした。時間無いんで降りますね」
運転席と助手席の間から
後部座席へ身を乗り出し
自分の荷物に手を伸ばした時
車のエンジンが掛けられる。