第1章 夏の思い出作り(赤)
まぁ、よこやまさん
まるやまさんとやすさんに
会えた訳やから
あとのひなさん、りょうさん
むらかみさんにも
会えるような気もする…
なんて思いながら
視線だけを
変態に向ければ
ハンドル握る手が
目に入って。
「(ほんと綺麗な…)」
見れば見るほど見惚れる。
ゴツゴツしてなくて
ずっと触っときたい!と思うような
華奢で繊細な手。
それに比べて私は…
「(はぁ……)」
ずんぐりむっくりな手。
けして女らしくない。
きっと変態は
生まれて来る性別を
間違えて来たんやわ。
男にしとくのは
もったいないって。
「どうした?手見てるけど」
「え、あ…」
「触りたいか?」
「へ?」
「や、流石にオナラは触れんぞ」
「その"へ"じゃないです」
「分かってるわ」
ふ、と笑う横顔に
すっかり心は
ときめきを覚えて。
ドキドキしてるのを
気付かれないよう
何とか平然を装うも…