第1章 夏の思い出作り(赤)
ジリジリ肌を灼く日差しの中
歩いて来た私達。
中へ乗り込めば
これまた更に暑くて。
変態がエンジンをかけ
エアコンを付けた。
激しい音を出しながら
車内を涼しくさせてく風。
額、こめかみから
流れる汗は腕で拭う。
拭く物は全部旅行バックの方に詰めてもうてん。
(とことん女子力低いな、自分)
「全然腹減ってへんねんけど」
「そりゃあ9時過ぎに食べてたら空きませんよね」
「ほんならなんでちゃんと食わんかってん」
「どっかの変態が気不味い空気放つから」
「気不味くても飯は食え。また倒れんぞ、マジで」
なんて注意しもって
カーナビを操作し出す変態。
指の動きを見つめながら"はい"と返事すれば「えらい素直やん」とカーナビをいじってた手が私の頭を撫でる。
そんな優しい表情されたら
胸がキュンとしちゃうやんか。
この変態は確信犯。
私の気持ちを知ってて
こういう事するんやもん…