第1章 夏の思い出作り(赤)
「………マジで!?」
「はい、」
よっしゃ!
ほんなら行こか!
って引っ張られるように
連れてかれると思ってたんやけど…
何でか困ったような表情を浮かべてた。
「………冗談ですから」
「え、そうなん?」
「行く訳無いですよ」
「マジかー…めっちゃ行く気満々になった俺の気持ちはどうしてくれんねんな」
全然、嘘ばっか。
行く気なんか
さらさら無いやん、と
心の中で愚痴ってたら
気付けばお店の裏にある階段のところまで来てて。
というか、私達はどこへ向かってんのやろ?
なんて疑問に思ってると階段の下の方から…
「渋やーん!」
甲高い声が聞こえた。