第1章 夏の思い出作り(赤)
「ラブホ行こか」
「結構です、」
「なんでや!楽しい思い出作りの一貫やんけ!」
「さようなら」
「あっ、ちょ、待てや!」
なんか後ろでギャーギャー言うてるけど
無視して歩き出す。
ほんと呆れるわ、この変態。
「怒んなや」
「怒ってません、」
「やったらもっとゆっくり歩け」
「なんでラブホなのか教えてくれたらゆっくり歩きます」
「とヤりたいから」
「なっ…」
「それ以外にどんな理由があんねん、」
なんてシレッとした顔で手を取り
今度は変態がスタスタと歩き出す。
ヤ、ヤりたいって…
(ダイレクト過ぎて恥ずかしい)
もっとオブラートに包んで欲しかった。
「…………行っても良いですよ、」
「へ?」
足を止め振り返る変態の腕にくっつき
繋がれた手に力を込める。
「………ラブホ」
もう暑さでおかしくなったんやと思う。
こんな台詞初めて言うたもん…