第1章 夏の思い出作り(赤)
もう見れないと思ってた笑顔に
また涙は止まらなくて。
拭っても拭っても
溢れてはポロポロと
目から零れてく。
「何っ…しに来たん、ですか」
私ってばアホ。
こんな時にまで意地張って。
「楽しい思い出作りの続きしに来た」
「……………は?」
「まだ3日目が終わってへん」
「や、もう結構ですから」
無理させてた事を知った以上
楽しかった思い出は
罪悪感だけしか残ってへん。
それを増やせば増やす程
誰も得しないし、虚しいだけ。
「それよりお店戻った方が良いんじゃないですか?大倉さん困るでしょうし、私なんかと居るより綺麗な人と居た方が楽しいですよ」
見上げられた目線に耐え切れず背を向けた。