第1章 夏の思い出作り(赤)
バス停まで結構な距離があって。
辿り着いた頃には
暑さでもうヘロヘロ。
誰も居ないベンチに腰を掛け
空を見上げれば陽射しが眩しい。
どこかで鳴いてる蝉の声を遠くに聞きつつ
バスの時刻表で時間を確認する。
「………………え、」
慌ててバッグからスマホを出して
今の時間を見る。
画面に表示された時間は11時14分。
次のバスが来るのは12時45分…
この炎天下の中
約1時間30分は
待たなきゃあかんって事やん。
マジですか…
「(そんなん無理!)」
干からびて死んでまうわ!
やけど歩いて行こうものなら
1時間30分以上はかかる訳で。
結局、待つという選択項しか無いやん!
と、時刻表を見てたら…
「今日はこっちのダイヤルですよー」
なんて声がした。