第1章 夏の思い出作り(赤)
「お手数かけて悪いんですが…渋谷さんの車に荷物を置いたままなんで、ここに送って下さい」
そう伝えながら
2人に背を向けて
自分のバッグを取りに行った。
後ろで大倉さんの呼び止める声がしてるけど
振り返らずバッグを持ったら
裏口のドアノブに手をかけてみるも
こんな雰囲気のままで後悔せぇへんかな?って思いが
ドアを開ける事を留まらせる。
「……………」
あかんやん。
ちゃんとお礼言わなきゃ。
2日間と少しの時間を
私の為に使ってくれたんやから…
「……………渋谷さん、」
ドアノブから手を離し
変態の方を見るも
向けられたままの背中は
反応がなくて…