第1章 夏の思い出作り(赤)
「ちゃん?何し…」
大倉さんに声をかけられてる途中で
走らせていたペンを止める。
2人の方へ顔を向ければ
不思議そうな表情の大倉さんと目が合った。
目線を横へずらせると
わざと顔を逸らされて…
「………帰ります」
「え、もう!?」
「はい、ここに居る意味がもうありませんから」
「ちょっと落ち着こうや、なっ?」
と、宥めてくれる大倉さん。
肝心の変態は
やっぱり背を向けたまま。
「………大倉さん、短い間でしたがありがとうございました」
「いや、だから落ち着こうって。すばるくんはただ拗ね…」
「落ち着いてます。もう十分なんで」
「ちゃん、」
「これ以上ここに居たら…折角出来た楽しい思い出が台無しになりますから」
と、住所を書き終えたメモを大倉さんへ渡す。