第1章 夏の思い出作り(赤)
「そない言う程楽しなかったわ、」
ズキンッと胸に痛みが走る。
楽しくなかったんや…
「花火で騒げんのはガキだけやろ。めっちゃ合わせんの怠かった」
淡々と告られた言葉に
胸は痛むばかり。
どんどん潤み始める視界。
楽しく無かったんなら
それでも良いねん。
何を言われようと
楽しかったから。
帰らなあかんのが寂しいくらい。
やから否定せんといて。
私の楽しい思い出を。
「っ…」
眉間に力が入り
目尻から零れた涙が
頬に一筋、流れ伝う。
合わせてくれてたんなら
最後まで嘘を吐き通して欲しかった…