第1章 夏の思い出作り(赤)
短い説明で全てを理解したのか
んふふ、と笑ってる大倉さん。
アホや下手というのが
どういう事なんか
知りたいけども…
ここから見える
背中を向けたままの後ろ姿に
少し寂しさを覚えつつも
どうでも良いや、なんて
自棄にもなってたり。
「………寂しい?すばるくんに避けられて」
この人は心の中が読めるんやろうか。
やったら変態の心の中も読んで
何を思ってるのか私に教えて欲しい、やなんて
訳の分からへん事を考えながら…
「1センチだけですけどね、」
と、答えたら優しく微笑んで「素直になったんやね」と頭を撫でられた。
元から素直なんですけど。
って言い返したかったけど…
「すばるくんがそれ聞いたら喜ぶわ」
「そうやったら嬉しいですけども…」
「とりあえず誤解を解かん限りは進まんかなぁ…どうしようか…」
なんてブツブツ言ってる大倉さんを横目に
布巾を持ってテーブルを拭き始めた。