第1章 夏の思い出作り(赤)
「あ、おは…」
昨日とは違い
目元をニヤつかせた大倉さんが
先にお店へ来ていて。
私達を見るなり
そのニヤつきが
一瞬で消えた。
「なんでっ!」
「何がや。ってか、お前二日酔いは大丈夫なんか?ヤスに呑まされんかったんか?」
「もうっ!今はそんな優しさ要らんって!俺の事よりすばるくんらのが大事やんかっ!」
「何怒ってんねん、意味分からんぞ。飯食うてへんのか?」
「食べたし!朝から茶碗3杯がっつりと!」
「丼の間違いやろ」
なんて笑いながら
ズボンの後ろのポケットから
スマホやら煙草を出し
棚に置いたら…
一切私を見る事なく
そのまま厨房へと入って行った。
「どういう事…?」
「分かりません、」
朝起きてもいつも通りに
接せれたらいいなぁ…っていう考えは
どうも甘かったみたいで。
目を覚ました瞬間から
もう気不味い空気。
目線は逸らされるし
会話も必要最低限しかしてなくて…
「告白は?」
「してません…大倉さんの事が好きやと思われてます」
「えっ?あー、やからかぁ…ほんますばるくんってアホやし下手やなぁ」