第1章 夏の思い出作り(赤)
「……………好きになってたんやな、大倉の事」
なんて言いながら
抱き締めたまま
後頭部を撫でる手。
私が大倉さんを?
「ち、ちがっ、」
体を離して否定しようとしても「………良かったやん、想い合ってて」なんて言葉で邪魔されて。
頭を撫でてくれていた手も離れて行った。
「だから違っ…」
「もうえぇから、気使わんでも」
「え…?」
「これでやっと精々するわ、明日から女の子達と遊べるし」
そんな言葉に
いちいち胸を痛ませ
泣きそうになる自分は
バカでしなくて。
この人は変態で遊び人。
ただの暇潰しくらいにしか
思われてへんかっただけ…
「あ、チャンスは明日だけなんやから頑張って気持ち伝えや」
「……………はい…」
「………じゃあ寝るわ」
「おやすみなさい」
「おやすみ、」
否定したって無駄。
やから大倉さんを好きやという事にしといた。