第1章 夏の思い出作り(赤)
「………起きてたんか?」
「………はい、すみません起こしちゃって」
「いや、俺も起きてたから大丈夫や…」
「…………………」
「…………………」
ほら、やっばり気不味い。
この状況から
どうやって続きを
強請ればえぇの?
強引にそういう空気へ持ってく勇気はなくて。
やけど、キスしたい。
触られたいって
心も体も疼き出す。
「あ、あの…」
「ごめん、」
お互いの声が重なった直後
私はベッドの中と同じ匂いに包まれた。
見えてへんはずやのに
しっかりと抱き締められてる。
「知らんかったから…」
「え…?」
「大倉の事、」
「大倉さん…?」
なんでこのタイミングで
大倉さんの名前が?