第1章 夏の思い出作り(赤)
イチャイチャして来てなぁーって言われても…
と、待ち受け画面に戻ったスマホを見つめる。
画面にはどこかのサンセットビーチの画像が表示されていて。
「…………もうえぇやろ」
「あっ、」
頭上から降りて来た手が
私の手からスマホを取った。
いつ戻って来たんやろ?
と、変態を見上げるも目は合わず。
いつの間にか終わっていたホラーDVDを
消しに行く後ろ姿を顔で追う。
ふ、とテレビ画面が消え
辺り一帯が真っ暗に。
「あ、あの…」
「ん?」
「………もう寝るんですか…?」
「寝なあかんやろ、明日も早いし」
暗闇の中で聞く声は
どこか冷たかった。