第1章 夏の思い出作り(赤)
「ちょ、着信…っ…」
「んなもん、ほっとけ」
誰かから掛かって来てるというのに
出ようとはせず私の首元に顔を埋め
耳や首筋にキスを落としてく。
その間も着信は鳴り止まず…
DVDの音も合わさり
ごちゃごちゃうるさい。
変態もそう感じたのか
首元から離れて行った顔は
めっちゃ険しくて。
上体を起こしたまま
テーブルの上で
鳴り続けてるスマホを睨み付けた。
(睨む暇があるなら出ればえぇのに)
「誰やねん、こんな大事な時にかけて来る奴は…空気読めや」
チッ、と舌打ちをして
私から離れると
スマホを取りに行った。
いやいや、変態さんよ。
自分達の状況は
自分達にしか知らんのやから
空気読むのは無理でしょう。
アホ扱いされた着信相手が
これから何を言われるのか
考えてたら不憫に思えて来た…