第1章 夏の思い出作り(赤)
後ろから女の人の悲鳴がしてるけど
DVDの内容なんかどうでも良くて。
自分から首に腕を巻き付け
体を密着させて
重ね合わそうとしていた唇を
変態の手が邪魔をする。
「あかん、」
「………なんで…?」
「なんでもや」
「そんなの狡い…自分はしといて、」
「俺はえぇねん、加減出来るから」
「………どういう事?」
「からされたら止まらんなる、って言うたら分か…」
言い掛けてる途中で
一瞬だけ唇を触れ合わせたら
無言で押し倒され
またゆっくりと重なり合い出す唇。
付き合ってない人と
キスをするのは初めてで。
イケナイ事をしてる気がして
やけにドキドキする…
「んっ…」
合間に声が漏れた途端
押し付けられるようなものへ変わる。
唇は次第に首の方へと降りて行った。
もう止まらない。
今すぐ感じたい、渋谷さんの事。
また首に腕を回し
隙間なく引き寄せた時…
穏やかな洋楽が
部屋に響き出した。