第1章 夏の思い出作り(赤)
気付くのが遅過ぎた。
ううん、気付かないフリをしてたのかも。
もう手遅れ。
絶対、惚れない…
惚れる訳ないって思ってたのに。
悔しいけど、不本意やけど…
渋谷さんが好きです、大倉さん。
(もちろん、恋愛として)
「よしっ、終わった」
「すみません…片付け何も手伝わずで」
「かまへんかまへん。には楽しい思いして貰わなあかんねんから」
なんて言いながら
空になったバケツを
お店の裏口の横にある
小さな水道へ置く。
「………もう十分楽しかったですけど」
「お前な…後1日残ってんねんからまだ過去形にすんなや」
「…………………」
「今日は焼きそばにすんのやろ?買いもんしに行かな冷蔵庫何もあらへんで」
また私の手を取り歩き出す。
過去形にする事よりも
今は"後1日"って言葉のが
何よりも辛い。