第1章 夏の思い出作り(赤)
「さ、いよいよ…ラストやぞ」
「締めはやっぱり…」
「線香花火!!」
「線香花火!!」
「どっちが長く保つか勝負や」
「受けて立ちます!」
煙草を吸い終えた変態の元へ。
隣に並んでしゃがみ
線香花火へ火をつける。
さっきとは違って
オレンジ色の火が
静かに灯り
パチパチ、と小さく弾け始めた。
「意気込んでも…してる姿は地味よな」
「ですよね…」
「………………」
「………………」
無言で火を見守る。
水を張ったバケツには
黒くなったたくさんの花火が浸かってて。
「………………」
楽しい時ってのは
ほんの一瞬で
終わってしまえば
それまでなんよね。
だから、また次も…って
楽しさを求めるんよね。
「……………………」
「………………あ、」
ポトンッ、と
先に落ちたのは
私の線香花火。