第1章 夏の思い出作り(赤)
お店の電気を消し
バッグ持って外に出たら
裏口のドアの鍵を閉めて
バケツに水を汲む…のは変態。
私の手には夏の風物詩なあれ。
「重っ…」
「早く!」
「そう急かすなや」
煙草を咥え火をつけたら「よっ、」とバケツを持つ変態。
咥え煙草かっこいいじゃない。
(いちいち様になるから腹立つ)
ちょっとドキドキしちゃってるし。
「何ボサッと立ってんねん。せぇへんのか?」
振り返った姿と
夕焼けに夜が交ざり
紫色になってる空。
見惚れてた…なんて事は言わず
無言で変態の隣へ立てば目が合い
バケツを持ってへん手が
当たり前のように私の手を取った。