第1章 夏の思い出作り(赤)
営業時間が終わった頃には
薄暗くなっていた空。
シャッターを閉めた店内では
変態がカウンターで
お金の計算をしてて
私は扇風機の風を浴びつつ
明日の電車の時間を調べてる。
「そう言えば、」
何かを思い出したような声に
変態の背中へ目をやれば
顔だけ振り返り私を見る。
え、何?
惚れたか?とか言うんかな。
「明日、電車で帰んのか?」
「え?あ、はい」
「せやったら、ちょっとはよ上がらなあかんよな…」
と、また前を見て計算し出した。
その後ろ姿を見つめる。
例えば…
例えばやで?
帰りたくない、って言ったら
変態はどんな反応すんのやろ…?