第1章 夏の思い出作り(赤)
「…………………」
辺りを見渡す。
ちょっと見慣れた店内。
明日の今頃には
もうここに居ないんや…
「食べへんのか?」
「あ、ちょっとお腹いっぱいになりました」
「なら貰うぞ」
「はい」
先端が欠けてるスイカを食べた。
あ、そういえば食べかけやったな…
「ぬるっ」
「どんまい」
「やっぱスイカは冷たいのやないとあかんやろ」
とか言いながら
もしゃもしゃ食べてるやん。
なんかもう…私の食べかけや!なんて言う気にもならへんわ。
「…表、掃いて来まーす」
「おー」
渋谷さんのキャップ被って
箒と塵取り持ち外に出た。
そして、太陽に背を向け
お店の段差を掃く。