第1章 夏の思い出作り(赤)
「はい、お水」
「ん、サンキュー」
大倉さんからコップを受け取り
ゴクゴクッと音を立て
水を飲み出す変態。
あ、喉めっちゃ動いてる。
「っぷはぁー、生き返った!」
「おっさんやんか」
「遅なってすまんかったな」
「あったん?」
「ばっちり」
「良かったやん。ほんなら帰るわぁ~」
「おー、気ぃ付けてな」
「ありがとう~、ほなね~」
ヒラヒラ手振って
表から外に出ようとした大倉さん。
何かを思い出したのか「あっ!」と振り向く。
「ちゃん、素直にならなあかんよー?」
「え、あ、はい」
「じゃあ、また明日~」
と、今度は本当に帰った。
どういう意味やろ?
めっちゃ素直な人間やと思って
今まで生きて来てたんやけど、私。
ちゃうかったんかな。