第1章 夏の思い出作り(赤)
「そっかぁ」
「はい、期待に沿わない返事ですみません」
「え?」
「恋愛や言うて、と顔に出てます」
「マジでぇ~?」
と、ほっぺたをペタペタ両手で触る。
その姿がおかしくて笑ってたら
裏口のドアの開く音が。
「ただいま」
変態が戻って来て
買い物袋持ってるのが見えた。
中身を確認するにも
そのまま奥へ直しに行ったから
何なのか分からず。
「おかえり~」
「おかえりなさい、」
「暑い。水くれ、死ぬ…あ、常温な」
サンダル脱いで畳に上がり
シッシッてされる。
やから、退いてカウンター席へ。
「あつー…」
扇風機前でTシャツの襟ぐりをパタパタ。
そんな変態の額には
無数の汗が浮き出していて…
数分、外出ただけで
そんなに汗掻く程暑いんや。
恐るべし、夏。