第1章 夏の思い出作り(赤)
「楽しんどいでなぁ~」
「はいっ!」
「すばるくん、置き去りにしたらあかんで~」
「せぇへんわ」
「では、行って来ますっ!」
大倉さんへ手を振り返したら「行くで」と振っていた手を変態に掴まれた。
そして、そのまま私の手を引き
海とは反対にグイグイ進んでく。
目指すは更衣室!
「暑いなぁ…」
私の手を握ったまま
顰めっ面で振り返った。
良く考えたら
なんで手繋がれてんのよ。
というか、キャップ借りててえぇんやろか…
「……やっぱお返しします、これ」
「えぇって」
「この暑さで頭がおかしくなって変態さが増しても困りますし」
「………で、くれんなら受け取るわ」
「へ?」
「………や、何もない。あ、ほら着いたぞ。待っとくから行って来い!」
と、背中を押される。
何を言ったのか聞き取れんかたけど…
待たせるのは悪いから
走って空いてる更衣室へ。
海とか何年振りやろ~?
と、ワクワクしながら
水着の袋を開ける…
「なっ…」