第1章 夏の思い出作り(赤)
「あ、コラ。玉ねぎ避けんな」
「だって…無理」
「アホか。玉ねぎは血液サラサラにするんやから、食え」
「嫌です」
「食わんかったら今日の晩飯も玉ねぎだけにすんぞ」
「うぅ…やだ」
「なら食え。好き嫌いはあかん」
私達のやりとりをカウンター席で「なんか親子みたいな会話やな」と微笑んで見てる大倉さん。
晩御飯玉ねぎだけって…
昨日の悪夢を思い出す。
そんなん絶対嫌やし!
串から外した玉ねぎを見つめた。
「………やっぱ無理!もう今日の晩御飯も要らないです!食べるくらいなら死んだ方が…………むぐっ、」
変態の指が口の中へ
玉ねぎを連れて来た。
そして直ぐに「出すなよ」と私の口を手で塞ぐ。