第1章 夏の思い出作り(赤)
「ふはぁー、気持ち良かったぁー」
休憩から戻って来た
ニコニコな大倉さん。
今朝のあれはなんやったんやろ。
髪がびしょ濡れ。
ややっ、これはセクシーやな。
急に色気醸し出してるやん。
「やっぱ海はえぇね。ちゃんの真似して泳いで来ちゃった」
来ちゃった、って…
ここは女子の集まりか。
背の高い女子は
バスタオルを肩に掛け
扇風機の風に当たり出した。
(シャワー浴びて来たんかな?)
もう1人の女子は
調理場の鉄板の前で
何かを真剣な顔して焼いてる。
そして、本物女子である私は
カウンター席に座ってお水を飲んだ。
そう、ご覧の通り
お客さん居ません。
大倉さんが休憩行ってから
急に来なくなったんよね。
「いいなぁ…昨日泳げなかったんです。あの変態のせいで」
「は?ちょー待てや。あれは俺やなくてナマコのせいやろ」
「見せんのは俺だけにしとけ、とか…赤色が良いとか………言うて最終的に置き去りにしたじゃないですか。思い出したらなんかむかついて来た…!」
「すばるくん、そんなんしたらあかんやろ?」
「しゃーないやろ、コイツが帰るとか言うから」
「コイツ言うな、変態」
「変態言うなや」
ムーッと睨み合う。
そんな私達を横目に扇風機の風で「あ"~」なんてやってる大倉さん。
みんな、やる事は一緒なんやね。