第1章 夏の思い出作り(赤)
「ほんまに大丈夫か?」
「大丈夫です」
「ほんまか?なんや顔色悪いぞ」
お店のカウンター席で
隣同士に座り
私の顔を覗き込んで来る。
起きた時から
ずっとこんな感じ。
開店準備は変態が
1人で全部したから
私はずっと座ってるだけやった。
もう全然平気なんやけどなぁ…
「大丈夫ですって」
「無理すんな」
「してません。あっ、テーブル拭きます」
「えぇって。俺やるから座っとけ」
布巾を私から奪い
畳のテーブルを拭きに行った。
少しでも動こうものなら
今みたいに「俺やるから」って
静止させられる。
昨日と態度が違い過ぎやから
ちょっと動揺してんねん。
「そういやぁ、大倉遅いな」
「ですね」